上田紬の小山憲市さんの紬織展、始まりました。
銀座の清月堂画廊にて毎年開かれるこの展覧会は、
今年で13年目を迎えるそうですが、「いつも新鮮な驚きがある」というのは企画者である石川利江さん。
今回、特に目を引くのは太い手引き糸を緯糸につかい、糸の強弱のコントラストが表現された着尺や帯の数々です。
この糸は、もともと地元上田から小山さんが仕入れていたものですが、
今では手引きできる人はいなくなってしまったそう。
手引きに適する良質な真綿も入手困難であることから、在庫分を大切に使いきるのみという、貴重な素材です。
「織りは糸」と断言する小山さんは、この力強い糸が織り成す凹凸が
そのまま模様になると言います。
他にも、変わり熨斗目風のもの、セミフォーマルにも使えそうな光沢のある付け下げなど、観るだけでなく、自身の身に纏いたくなる紬がたくさんありました。
会場のお客様の中には、小山さんの紬に京都で刺繍を施してもらったという方もいました。
帯の「らくだ」モチーフを、おそろいで刺繍してもらったもの。(写真左下部分)
綺麗な色の紬に、洗練された金彩の刺繍が映えますね。
小山さんの着物をお召しになった方は他にも来場されていて、
「作り手として、こうして実際に見られることは、なかなかないです」と小山さんも嬉しそうでした。
都会的でモダンな印象の小山さんの紬。
以前は、どこか土くさい“信州紬”のイメージに抵抗したい気持ちがあったそうですが、最近では、そのモダンな布の中に「懐かしさ」や「温かさ」を感じるという
お客様が増えた事が、むしろ嬉しいのだそうです。
紬の持つ温かさ、力強さは確かに織りならではの「味わい」であり、
その良さを改めて実感するようになった、というお話が印象に残りました。
展覧会は、2月2日(日)まで開催中です。
お近くの方は、ぜひお寄りください。
場所:銀座 清月堂画廊 1階
時間:11時~19時(最終日は17時まで)