絹の道は文化の道~グリム童話と蚕都上田館

信州上田はかつて蚕糸業で栄え「蚕都上田」と呼ばれていました。古代の中国と欧州との間のシルクの交易路は「古代シルクロード(絹の道)」としてよく知られています。シルクロードは生糸を運ぶだけでなく文明・文化の交易路でもありました。このことは日本が欧米と交易した近現代の「絹の道」とも相通じるものがあります。

2012年の晩秋、信州上田の蚕都上田館を会場に「グリム童話から 手づくりのぬくもり」展を開きました。『グリム童話』は皆様もよくご存じのとおり、『ヘンゼルとグレーテル』『白雪姫』などのメルヘンの数々で知られています。手塚葉子さんら4名の女性グループが手づくりで人形や小物などを制作しました。一つ一つに思いがこもった、愛おしく楽しいものばかりです。眺めていても飽きることがありません。

蚕都上田館(旧上田市立図書館)は、1915年(大正4年)に建てられた洋風建築です。ドイツのアールヌーヴォ様式に特色があるとされています。蚕都上田館は、上田市指定文化財の建造物を蚕都上田のまちづくりを進める蚕都上田プロジェクトが上田市からお借りして運営しています。
その蚕都上田館に『グリム童話』にちなむ人形などを展示すると、これが実にぴったりと合うのです。

つまり、絹の道=文化の道を通って蚕都上田にもたらされた洋風建築が、その文化的ルーツであるドイツの『グリム童話』とぴったりと融合したわけです。これはとても「絹の道」の話題にふさわしいものではないでしょうか?

なお、蚕都上田館は冷暖房のない歴史的な建造物です。そのため、冬期(12月~3月)は閉館しています。4月以降に再オープンいたします。

(ミッチー)

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