着物通の着こなし拝見 歌舞伎編①

きもの友達からの情報が届きました。
皆さまにもご披露します~

日生劇場「二月大歌舞伎」の幕間にお誂えの帯をしている方をお見かけしました。

お太鼓に浮線蝶、三ツ銀杏(染五郎さんの定紋)、四ツ花菱、松葉、高麗格子、三番叟の小道具…。高麗屋ゆかりの紋などが染められ、ひと目で染五郎さんファンとわかる塩瀬の染名古屋です。

お話を伺うと、呉服屋さんに舞台の写真などを持ち込み、コレとコレを使いたいとお願いされたとのこと。柄の配置などはお任せだったそうです。宝尽くしに見えますが、よく見ると…という帯で、歌舞伎ファン(染五郎ファン)ならすぐわかるというのが良いな~と思いました。

私もいつの日かお誂えで染め帯を作ってみたいです。


染められている紋についての解説を少し。

昔は贔屓の歌舞伎役者の家紋を、キモノや帯に入れたりした人も多いといいます。
特に芸者さんたちは目立ちすぎないように、簪に透かしに彫ったり、長襦袢に染めたりしたと聞いています。

基本、キモノがお誂えだったわけですから、いろいろ出来たわけです。
高麗屋の定紋は四つ花菱で、それぞれの役者名が持っている紋も別にあります。
この帯の方は、染五郎ファンですから、三つ銀杏、四つ花菱は欠かせないですよね。

そこに粋な高麗格子も加えて!
浮線蝶はお父様の幸四郎の替紋ですが、いつか染五郎は幸四郎になるわけですから、ずっと使えますね~。
松葉は松本家にちなんで、幸四郎夫人の紀子さんもよく松葉散らしのキモノや帯をお召しです。
三番叟はめでたい祝儀の気持ちで模様に加えたのではと思います。
それら一つ一つをあまり大きくしないで、宝尽くし風に全体に散らしたところが、お洒落だと思います。

◎松本幸四郎

定紋  四つ花菱
替紋  浮線蝶

◎市川染五郎
定紋  三つ銀杏
替紋  四つ花菱

◎高麗格子

太い筋と細い筋を等間隔に1本ずつ交互に配し、縦横に交差させた格子縞。
横より縦の間隔が広い縦長の格子。

江戸時代の四代目・松本幸四郎が狂言「鈴が森」の中で町奴・幡随院長兵衛(ばんずいいん・ちょうべえ)を演じた時に、この格子柄の合羽を着て好評を博しました。松本幸四郎の屋号「高麗屋」から、「高麗屋格子」「高麗格子」と呼ばれ流行しました。

ishikawa

PAGE TOP