【終】須坂クラシック美術館で江戸女性のファッション講演会

「小袖 江戸女性のファッション展」を開催中の須坂クラシック美術館で、監修協力をされた共立女子大学の長崎巌教授の講演会が10月10日に開かれました。

●勝ち組の憧れが生んだ「たもと」と「おはしょり」

江戸時代の女性着物の流れを知ると、時代の変化や女心が見えてくる!というお話。

公家女性が着ていた十二単などの「大袖」に対して、筒状の「小袖」を着ていた庶民の中から勝ち上がった武家女性や町人女性が、出世を体感したくて袖に付けるようになったのが「たもと」なんですって。

さらに生活が豊かになった江戸後期、DNAに刷り込まれていた平安貴族への憧れから、勝ち組女性たちは座敷の中で着物の裾を引きずって着るようになり、明治以降、女性の外出が多くなると、着る時にはしょるようになったのが「おはしょり」につながったのだそう。

●保守の武家女性に革新の町人女性

武家女性に対して、一足遅れで経済力をつけた町人女性が、同じような着物を着られるようになったのは、江戸開幕から60年を経た寛文時代あたりから。

とはいえ、両者はそれぞれの好みや美意識によって、同じデザインでも異なる技法で模様を表す着物を着るように。

保守的な武家女性は、憧れの公家女性が着ていた重くて固い紋織物と同じテイストが表現できる刺しゅうを中心にした着物を着続けました。

一方、進取の気風に富んだ町人女性は、元禄時代に誕生した友禅染を取り入れて、友禅模様に光琳模様、カリスマ書道家の文字を模様にした親和染、さらには風景模様に小紋染、縞・格子・・・と、次々に新たなファッションを楽しみます。

明治以降の着物は町人女性が着ていたものが引き継がれているのですね。

「小袖 江戸女性のファッション展」は10月20日まで。

参加者もこだわりのアンティーク着物と髪形で
PAGE TOP