小山憲市さんのギャラリートーク「紬のおはなし」

小山憲市紬織展が開かれている長野市のガレリア表参道で、10月17日、小山さんのギャラリートークが開かれました。

上田紬の伝統を継承しながら、現代の女性が求める着物を目指してきた小山さん。

「僕が始めた30年ほど前は、普段着と呼ばれていた分野ですが、今はお洒落着と呼ばれています。洋服では出し切れないその人の魅力を出したり、ただのファッションと違って、内面を出す怖い分野です」

と小山さんは言います。

「普通のものでは納得できない方がたくさんいらっしゃって、いろんな知識も持たれているので、どんどんレベルが上がっていくんです。もっといいもの、もっと変わったもの、もっと自分に合うもの…と。女性はこんなにも着物に心を寄せてくるのか…思いが熱いですよね」

いつも挑戦という小山さんの話に、会場は思い当たる皆さんの笑いで包まれました。

今回の展示の中で、ひときわ目を引いた大胆な赤紫の着物は、

「着ると意外に落ち着きます。
でも、せっかく着物を着るなら、注目してもらいたいじゃないですか。
現代的とはいえない赤紫の色を上手に入れることで、お洒落感を一歩前に進めることができるのでは」

懐かしさをとどめてモダンさに転換させ、味わいを深めようという意欲作です。

今、凝っているというのは、すっきり感とお洒落感を表現できる柑橘系のレモンイエロー。

「品格や色気、懐かしさやモダンさといった言葉のニュアンスをとらえるのはとても難しい作業ですが、絶えず問い掛けながら物を作るようにしています。今、やりたいことがいっぱい見えているんです」

と小山さん。

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